社員レポート


営業部 草野 裕樹

12月レポート

 「水落とし」という言葉を聞いたことがあるだろうか?寒冷地において、配管や給湯器のタンクなどが凍結し破裂するのを防ぐために、配管等の水を抜いてしまう作業のことである。寒冷地において不動産を扱う仕事についていればその名前をしらないものはいない。配管内の水はマイナス4度で凍り始め、徐々に凍結し、完全に凍ると水の状態よりも体積が1.1倍になるため、鉄管などの固い素材の劣化した部分や弱い部分に力が集中し破裂させてしまうのである。一旦破裂してしまうと自然に修復することはなく、人の手を加えないとそのまま2.2kの圧のかかった水が破れたところからとめどなく噴出するのである。厳冬期において一番あり得る話で、一番被害が出やすい事象の一つである。ちょっと気を配れば、作業自体は難しいものではないため防ぐことも可能だが、その知識が無かったり、やり方が不十分、もしくは間違っていたりすると完全に水を抜ききれなくて破裂するなどということもある。
 ただ最近のマンションは高気密、高断熱であるため、このような作業が不要なものが多くなってきているが、アパートや古いマンションなどはまだまだ多く存在するし、部屋の位置関係や構造から室内気温をある程度維持できず凍結させてしまったりといったケースもある。過去に何度かその対応でお客様と打ち合わせをしたり現状を拝見したりということしてきたが、「水を漏らしてしまった」「配管を凍らせてしまった」「階下の方へ迷惑をかけた」ということが入居している方はもちろん部屋の所有者にとっても大きなストレスとなることがある。簡単に直せて費用も少額で済むのであればそんなことにもならないのであろうが、漏水させてしまうと賠償であったり修理であったりと多大な費用と多くの時間を費やさないと解決まで至らないことが多い。間に部屋を管理してくれている不動産業者や管理会社が入ってくれればよいが、そうではなかった場合は尚更である。以前に対応した案件は、部屋の所有者側で保険には入っているが20年前に入ったきりで内容の更改をしていなかったため現在のケースに適合できず実費ですべてをまかなうといったこともあった。被害は自室と階下の1室だけではあったがそれだけで数百万円の損害が発生し自腹になるというものであり、費用的負担もさることながら精神的負担が大きく、解決までに至るには本当に多くの時間を要することになった。
 凍結は寒冷地であれば非常に身近にある現象である。寒い日の朝、路面に薄く張った氷があるのと同じことである。解ければ元の水に戻るが戻らなければずっとそのままである。配管などの件も同じことが言えて、破れた配管が凍ったままであれば漏水も起こらないが、空室の場合は春先などに氷が解けて一気に水が噴き出すといったことも起こりうる。寒冷地ならではの事案であるのかもしれないが、身近にある災害の芽なのである。札幌はこれから寒くなる。しかしこれからより寒く、厳しい冬が来る。起こってはいけない事故であるが、万が一のことも考えながら一つ一つ丁寧に作業をしていこうと思う。