社員レポート


営業部 草野 裕樹

4月 月報(5/9)

 慌ただしかった1月からの繁忙期もようやく収束し少し緩やかな時間が過ぎていくようになった。忙しさは毎年同じようにやってきて、中身は別として何件もの契約をこなし、多くのお客様の入退去に立会い、そしてあっという間に過ぎていく。この期間的な慌ただしさは10年前も、私が不動産業界の門をたたいた15年前もさほど変わらない。逆を言えば春の新入学シーズン、就職の時期が変動しないのであるから変わりようもないのかもしれない。だが内容については毎年のように変化があり、その年の世の中や景気動向を映し出すような動きを見せていく。今年の繁忙期はどのようなものだったかを振り返ってみたい。
 
 まず、契約の数や売り上げについては大きく変動するものではなく全体を通してみると例年通りというのが感想である。強いて言えば都心回帰が強まった感じがあり、外縁から中心部へ、北海道の多々ある町々から札幌市へというような動きが強かったように感じられた。特に学生の動きはその傾向にあり、社会人の方については札幌を出て首都圏へ向かうという流れも強く見受けられた。これは景気が上向いてはいるが実感はなく、より経済的な色彩が強い都市部への流動が多かったことを示しているのではないだろうか。また学生については地元占有率の上昇などがニュースで流れていたが、私自身に実感はないものの取った契約の内容を並べてみてみると学生が例年よりやや少ないことに気付く。もちろん偶々なのかも知れないが、数字を見る限りではその内容になっている。

 一方、属性以外の内容についても変化が見受けられる。一番大きく変動しやすいのが賃料帯である。これは家計に一番影響を与える部分であり、景気は上向いているといわれていても下降曲線を示している。人の流れは賃料の高いといわれる中心回帰であっても選ぶ物件はやや安めの割安感のある物件が良く契約になっていた。また、設備や環境も重要だが負担面を軽減させようとし、希望する内容の上位は妥協できないがそこまでこだわらないという内容については妥協し安さを加味した内容の申し込みが目立った。間取りも大きめのものも動くが、大きい中にも割安感があるもの。割安で大きめな物件が良く動きがあったと思う。この流れは繁忙期特有の一過性のものだが、今後この流れが緩やかになった時にどのような動きをするのかで今年一年の動向が見えてくるのではないだろうか。

 部屋選びとお財布事情は切っても切れない関係にある。物件がいかに高級で最高の品でも求める人がいなければそれは「ただの空き部屋」に過ぎない。どのような流れで部屋探しを行い、何を求めているかを読めるか否かがこれからの時期を制するかどうかの分かれ道になるのではないだろうか。