社員レポート


草野 裕樹

法人の賃貸申込(2012/09)

 北海道はお盆を過ぎると一気に秋らしくなると言われるが、今年の天候は良いのか悪いのか、晴天・高温の日が続いている。農家の方も悲鳴を上げるが、一般に商売をしている普通の業態のところは同じように暑さと客足の減少に頭を抱えるものである。実際お盆を八月は通常で行けば賃貸の動向は弱く、部屋を探す人たちの意識も日数的に余裕あるためかやや冷やかし程度でみる場合などもある。

 今年は6月頃から法人の動きが活発で一つの問い合わせ、申し込みで複数の部屋を借りていくケースも少なくない。実際9月1日付けの移動に合わせて複数借りた法人もあれば、新規で北海道へ進出する足掛かりとして部屋を借りた法人もあった。一昔前であれば、10月は人事異動が多いから秋の繁忙期だという人たちも多かったが、現在はそのような定期的な異動は少なく必要に応じ適宜営業所や支店などへ配備していくケースが多くなってきている。また、もう既に来年春の学校進学へ合わせて場所の確認や、室内がどんなふうになっているかという視察のような行動すら見えてきている。

 ではどのような物件が該当していくのだろうか?もちろん全ての空室が該当するわけではない。場所や交通の利便性、周辺環境など多くの要因が複合して成約へ至るわけだが、特に今年の夏に多かった要望が札幌駅周辺の、かつ、可能であれば徒歩圏内である物件が高い需要を示していたと思う。これは何を表わしているかというと、JR札幌駅及びその周辺に勤務地があること、そして交通手段としての札幌駅の利用が多いという事が挙げられるのではないだろうか?特に法人契約の場合、月に何度かは本州へ飛行機にて飛ぶということになれば新千歳空港までのアクセスを考慮したり、どこかへ直行する際などはバス、地下鉄、JR他多くの移動手段を選択肢として得られることが非常に有益なものになってくるという事が容易に推考される。つまり部屋の機能プラスαが物件を選ぶ大きな要因になっており、場所というカテゴリーがその重要な一部にあるという事が言えるのではないだろうか。

 逆にそれらの有益性の無い(薄い)物件はどうなっているのだろうか?こちらも成約していないわけではない。実際に札幌駅や大通駅、円山公園駅以外の物件も成約しており、一概にその人気の高い地域ではないから成約しにくいという事でもない。もちろん同じ視点から見ると成約の数は大きく異なってきているが、それでも全くの無成約というわけではないのである。何が成約へ導くかというキーセンテンスは物件によりさまざまであるが、一つ共通するのは「入居した際の利便性」である。これが無ければ部屋を借りる意味がなくなってしまうし、仮に何かの要因で合致していても適合性は低く入居後早期の退去になってしまう事も少なからず発生するであろう。利便性を追求し、その賛同を得た物件が今成約に至っているのである。価格や場所も重要なポイントであるが、それ以上に利便性がそれらに付加されていなければ数多くある空室物件に埋もれ、まさに「九牛の一毛」になってしまうのである。

 利便性を一言でくくってしまうのは簡単だが、何が利便性を増して、何が望まれているかという核の部分を理解しなければ如何に便利な場所にあって、良い設備を整えていても、惜しい物件になり下がってしまうのではないだろうか?