社員レポート


草野 裕樹

月報 (2011/09)

 家具家電付きの賃貸物件が最近多く出回ってきている。これは何もない通常の賃貸物件が多くあり、何らかの手段を講じ賃貸の成約率を上げようとしたアイディアの中から生まれたものである。現在の札幌は借り手市場であり、今でも新築物件が若干ではあるが供給され続けている。新築物件は一瞬だけ「新築未入居」「ファーストオーナー」というプレミアがついて、以降は一般既存物件とそんなに変わらない状態になる。その中において生き残るのは大変なことであり、満室を確保するのは至難の業である。そのような築浅な物件でさえそのような過酷な需要獲得競争の中で苦戦を強いられるのであるから、古くなればなるだけ何らかの手段を講じなければただただ「その時の需要」というものから置いていかれるだけなのである。つまり蚊帳の外状態に陥る。そうならないためにも独自の魅力、需要を得るための利点を生かし他には無いようなサービスにおいて生き残りを図ってきた。今この状態に変化が生じ始めている。

 市内にある賃貸物件をみても家具家電を一通り揃えた状態で賃貸募集しているものはほんの一握りではあるが、その一握りの中でも競争は常時生まれている。そしてその競争の中で決まる、決まらないという差が生じ、差別化を図っている物件なども出てきている。従来であれば地下鉄から近くて、スーパーやコンビニがあって家具家電付きであれば便利だという事である程度「微妙かな?」と思う物件でも割高で貸すことが出来た。ベッドもパイプベッドで対応できたしテレビだって14インチなんて言う最低限のものを入れている部屋もあった。しかし今の状況を考えるとそれらを敢えて搬入しようとする人はいないだろうし、付けたところで効果のほどは見えている。ただ、現在の設置状況を見てみると一通りの家具家電を設置して完了という具合が大半なため、どの物件も家具家電の具合ではほぼ横一線の状態にあるのだろうと思う。この状態にあってはその場所に何らかの所以がないと借りるような状態には至らない。つまり逆を言えば所以がなければ借りないという結論になる。そのような状況下においてはいつになったら賃貸が決まるかわからないし、貸す側にとっては不安な日々を送ることになる。そこで所以がなくても賃借人の需要を引っ張れるように工夫するケースが出てきた。小物を付けたり日本製のものに拘ったり、居間や必須となりつつある温水便座を完備するなど多くの工夫が見受けられる。いずれも費用としては安くは無いが長期の空室にし不経済を生むよりは対費用効果は大きいのである。

 工夫の方法は「定番」というものは無い。が、やるのとやらないのでは大きな差となって表れることも少なくは無い。今の需要がどこに向かって、どのような対応が必要なのかを情報収集し、対応していくことが早期の成約へ繋がるのだと思う。